私小説 G モテる女 そんなにいつでも会ってるわけじゃないけど、会えば必ず新しい彼氏がいる女友達っている。
そんなに可愛いわけじゃないけど、絶対に男が切れない女友達がいる。
自分の恋愛がうまくいかなくなってくると、ワタシは色々考えちゃったりする。
なんで?? 何が違うの? って、彼女達と自分の違いを考えてみたり。
そんな話を大学の友達と飲みに行った時、したことがあった。
「そうそう、ぜーんぜん可愛くないの! でもいつでも男がいるの!」
「マジで? なんでだろうねー。でもそういう子って確かにいる」
「でしょ? イシスもそう思うでしょ? それでね、ワタシはその子に探りをいれてみたの」
「探り?」
「そう。どういう風に彼氏と会ってるの?って」
「それは出会いを聞いてるの? それともつきあってから?」
「両方だよ」
「それじゃ、探りじゃないじゃん!ww ダイレクト過ぎ」
「いいの〜! そしたらね、普通だよって言うの」
「普通?」
「学校行ってー、バイトしてー、彼氏と会ってー、ご飯食べてー、時々お泊りしてーの繰り返しだよってさ」
「普通ねー」
「はい、ここで私達との相違点を述べよ!」
「普通ねー」
「おい! 聞いてんの?」
「聞いてるよー。てか、それ普通なの?」
「らしいよぉ」
「ふーん」
女2人の居酒屋トークなんてこんなもんだ。ジョッキ片手にエイヒレをかじる。
「じゃ、彼氏と会うのは生活の一部なんだ?」
「そうよ、そこ! そこが私達との違いなわけ。だって明らかに違うじゃん!
私達はいつでも彼氏の事を考えてる」
「そうだねー」
「生活の一部って言うより、生活の中心! って方が正しくない?」
「確かに。彼氏と会える時は絶対会えるようにしてるもんね。
(*゚ロ゚)ハッ!! それって、もしかして、都合のイイ女?」
「それだよ、そこが言いたかったの、私は!
いつでも彼氏がいる女って言うのは、つまり彼氏がいなくても大丈夫な生き方ができる女なんだよ。
はっきり分けてるから、ハマリ過ぎない」
「うーん。でもそれってさ、そういう子もいるけど、彼氏が切れない女って別じゃない?
今のが切れてもその次がいるってことでしょ?」
「そういう風に分けられる強みに気づいてないなぁー。
つまり、今の彼氏がいても、次の彼氏になりそうな人との出会いも作れるってことじゃん」
「なるほどー。年がら年中一緒にいたら、出会いもないし、出会ってもメールや電話のやりとりをする余裕がないもんね」
「私達より軽いとかそういうんじゃなくて、それが普通にできる子なんだよ、きっと」
「うちら、重〜って感じだろうね。(* ´Д`*)=3 」
「そういう子って、きっと輝いてるんだろうね。
だって、私達みたいに愚痴とか、彼氏の事でいつも悩んでる雰囲気ないんだろうね。
男から見たらすごく魅力的なのかもしれない」
「うちら、輝いてないな」
「そうだな、こんな女2人で居酒屋だしな」
2人で深いため息をつく。
ワタシは思い出したように話をきりだした。
「そう言えばさ、この間バスで前に座ってる男女の話を聞いてたんだけどさ」
「うん? カップル?」
「いや、大学の友達っぽい。だって男は彼女の話してたし」
「それで?」
「なんかね、彼氏が言うには、『彼女が毎日電話してくるんだよねー』ってさ」
「なに、ノロケ?」
「ワタシもそう思ったんだけど、次のセリフが『なんか、そういうの嫌じゃない?』だったんだよね」
「は? 何が?」
「その男がね、そう女の子に言ったんだよ。
そしたらその子も、『それはちょっと重いねー』って言うんだ」
「なにそれ! なんで、なんで??」
「だからワタシも、はぁ? って思ってさ。だって彼氏でしょう?
どうして毎日電話するくらいで重いとか言ってんの?
毎日電話が来るってことは、全然会ってあげてないんじゃないの?
それで彼氏面すんな!って一瞬にして考えたんだけどさ。w」
「(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚(。_。(゚д゚ )スペシャルウンウン 」
「だけど、それが普通なのかなって。ワタシがきもいのか? って思って。色々考えさせられたよ。
年的にはワタシと2,3コしか変らなそうな子達の会話よ? どうよ?」
「イシスなんか、ショッチュウ学校から電話かけてるもんね」
「そうそう。ま、彼の仕事がある意味長距離ドライブみたいなものだから、それも可能なんだけど」
「そうだよね、アディ君からも結構かけてくるもんね」
「最近あんまないけどね」
「あらー。。。」
「ま、それはおいといてー。
なんでこの話をしたかと言うとね、さっきの話とかぶる部分があるからなんだよ」
「あー、モテる女?」
「そうそう。生活の一部ではっきり分けてるってさ。本気で好きになったら、そんな余裕ある?」
「んー」
「ワタシの話にしてもさ、本気で好きな子からの電話をそんな風に受け止める?」
「・・・。や、その男はさ、本気じゃないのかもしれないよ。
もしかしたら隣の女の子を狙ってるのかもしれない。
でも、ワタシも友達もさ、本気じゃないとは言いきれないよ。
だって泣いてるのも見たし、遊び半分で人と付き合うような子じゃないし」
「へー」
「ぶっちゃけさ、ぶっちゃけね。私達って依存心が強すぎると思うのよ。
誰にでもってわけじゃないよ、むしろ男友達とかにはすっごいストイックっていうか、男っぽくしちゃうじゃん?」
「うん。男友達とは男らしくつきあうのが一番楽しいしね」
「他の人には、全然依存しない分、彼氏には極重の依存心が注がれちゃうっていうかさー」
「心を許しちゃうからでしょ?」
「そうそれ。でも、それってダメなんだよ、やっぱり」
「そうだねー。心を許しちゃうから依存しちゃうなんて言い訳だよね」
「イシスもさ、アディと色々あるみたいだけど、
ひとりで立てないヤツが、誰かを支えられるわけがないんだよ」
「きびしいなぁ」
「きびしいよ。あたしゃー厳しいよ」
「確かにね。。。」
ワタシはジョッキの底で揺らめいてる梅干を見つめた。
「ワタシさ、これまたぶっちゃけ??ww 今まで自分は超強いと思ってたわけよ」
「うんうん。そりゃわかる」
エイヒレを噛みながら友達がうなずく。
「やっぱ5人兄弟の次女だしさ、下の子の面倒も見たしさ、自分の考え方や行動は、ちゃんとした常識にのっとってて、誰もがそう思う正論だってさ、思ってたわけ」
「うんうん」
「でもそれって、そう思いこんじゃってただけだったのかも」
呟きに近い語尾に、友達がん?と眉毛をあげた。
「自分が正しいって思ってる人はさ、やっぱ強くいられるんだよ。それが歪んでても曲がってても。
でも私はさ、その価値観っていうの?
自分の中にあった、土台もしっかりしたすっごい太い柱みたいなのが、ぐらぐらし始めて、最近はいつ倒れてもおかしくないくらい」
「イシスー」
「恋愛偏差値低すぎってことですよ。ww
恋愛がうまくいかなくなるだけで、自分の人生観や価値観までダメになっちゃう女なんて、モテねーな!」
「モテねー、モテねー。つーか、別にモテたいわけじゃねー!!」
友達まで声を荒げる。違う席のカップルがちらちら覗き見ても気にしない。
「ひとりでいいんだよー。そいつとのうまい付き合い方が知りてーだけだよぅ。
おい、知らねーのかい!」
「そんなの知ってたら、ここにいねーつーの!!ww」
ハーレムなんて望んでない。たったひとりの愛しい人に愛されれば、きっと女は幸せなんだ。
一瞬じゃなく、永遠にね。
「イシス、モテるのにねー。この間もあれだったじゃん、なんとかって後輩の」
「あぁ、あの子。ダメダメ、ボクは童貞なんで年上のお姉さんに遊んでほしいです!系だったじゃん。
そんなこと言ったら、あんただって、なんだっけ? 踏んでください?w」
「日給3万円払うから、ボクの家で一日ボクをいじめてくださいでしょ? キモッ!
私、本当のSMって初めて見たよ。見た目は普通なのにねー。
あれがJ○で働いてるなんて、オソロシイ」
「ワタシ、そういう人だって知らなくて、ヒールで足を踏んでくださいって言うから、はい。って思いっきり踏んでやったことあるよ?
あれもギャグじゃなかったんなら、金もらえば良かった。w」
「ロクな男がいねーな」
「いねーなぁ」
「本当にモテる女っていうのはさ、彼氏がいようがいまいが、俺のものになってほしいって言われちゃう女だと思うわけよ」
「ほうほう」
「モテるって言うのはなんか違うな。イイ女っての?
本当のイイ女って、そういうもんだとワタシは思うけどね」
「イイ女になりてーなぁ」
「彼氏にお前は本当にイイ女だなって言われるのが一番女冥利に尽きると思うね」
「イイ女を見つけられるのも、イイ男なのかもね」
「じゃ、イイ男にめぐり合えてない私達も、イイ女じゃないのね」
「違うね。だってまだ20才やそこらだし。これからでしょう」
「そうさ、これからだ!!」
♪♪♪
「ごめん、ちょっと彼氏からだ」
友達はちょっと退席。ワタシはたこわさをつまみ、梅酒を流し込んだ。
「ま、そんなこんなでね。今日はお開きにしますか」
笑顔で戻ってきた友達。ま、分かってたけどね。
「そうだね。じゃ、会計でも・・・」
♪♪♪ 今度はワタシの携帯。
『今どこ? これからお前んちに行こうと思ってたんだけど。飯食っちゃった?』
「今友達と飲んでた。でも、もう帰ろうとしてたから」
『じゃ、迎えに行くよ。どこ?』
電話を切るとお互い満面の笑み。
「やっぱ、私達ってかわいいなー」
「間違いないね」
「無ー理、無理。この幸せを知っちゃったら、後には戻れないっす」
「たとえ一瞬の幸せになろうともね」
「その先に地獄が待っていようがね」
「じゃ、またねー。アディによろ〜」
「そちらの相方にもねー。気をつけてねー」
店から少し離れた所に停まってるアディの車。
テールランプがカチカチ光ってる。
それを見つけるだけでどれだけ幸せか、きっとヤツは分かってないだろう。
こんなハプニングが一番嬉しいんだってこと、あいつはきっと一生気づかないだろう。
「誰と飲んでたの?」
「ほら、アディも知ってるあの・・・」
いつでも男が切れない女?
そんなの興味無い。
「今日は飲みすぎちゃったな♪」
「ばぁか(苦笑)」
ワタシはいつまでも男が離さない女になりたい。
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